ゴキブリが現在のように身近な<害虫>となったのは、じつは戦後になってから、ごく最近のことなのである。屋内に出没するゴキブリの存在自体は、すでに江戸時代から知られていた。当時の人達は、食器でも食物でも何でもかじりつくしてしまうこの虫を「御器かぶり」と呼んだ。これが「ゴキブリ」の語源となっている。だがゴキブリが出没する家は限られていたようだ。食物が豊富で冬でも暖かな家でなければ、ゴキブリは定着することができない。そのような家が増えたのは、日本では高度経済成長以降のことなのである。
瀬戸口明久『害虫の誕生ー虫から見た日本史』pp.7-8 (via nozma-books)